okuru design/オクルデザイン

&TALK 03
juttoku sake store

十徳日本酒販売所

小島 拓也さん

元蔵人である店主が「1杯より1本が旨い酒」をコンセプトに、飲み疲れしない日本酒を全国からセレクト。店内には50~60種の日本酒が並ぶ。試飲も可能でリクエストに応じた日本酒を提案する。

コロナ禍を乗り越えられたのは
思いがけないアドバイスをもらったから

okuru designとの出会いについて。

小島さん

僕が開業の相談で吹田の商工会議所に行ったとき、窓口の方に「ショップロゴや名刺、ホームページの作成をするなら良いデザイナーさんがいるよ」とご紹介いただいたのが栗原さんでした。

栗原

初めてお会いしたのは2020年2月頃。そのとき決まっていたのがお店の場所と店名で。

小島さん

自分が酒好きなので店名は「酒屋のんべえ」とか「のみすけ」とか、そういった名前をつけようと思っていたんですが、栗原さんに話すと、一緒に考え直そうという流れになりましたね(笑)。

栗原

僕は吹田出身で小島さんがお店を開業するマンション周辺の土地勘があったんです。有名建築家によるおしゃれなマンションだし、界隈に住んでらっしゃる方も感度の高い方が多いと知っていたので、立地からすると店名のイメージが違うかなというお話はしましたね。

小島さん

いろいろ案を出したなかのひとつが「十徳」。狂言の「餅酒」では酒好きと餅好きがそれぞれのいいところを言い合い「酒に十の徳あり(酒には十個の長所がある)」というくだりがあって、そこから命名しました。

栗原

ロゴは家紋っぽくしたいというリクエストだったので、丸の中に「十」が10個あるデザインにしました。

小島さん

ロゴは 3パターンくらい出していただいたけど、もう最初に見て「これだ!」って。

栗原

「十徳」のコンセプトがしっかりしていたので、考えやすかったですね。

仕事のやり取りのなかで印象的だった出来事は?

小島さん

僕はもともと飲食店への配達をメインで商売をしようと思っていたので、ここは倉庫にするつもりでした。でも栗原さんがここでお酒の販売をしてみてはどうかと提案してくれたことですね。

栗原

この千里山エリアは感度の高い方が多く住んでいるので、ちょっとしたカウンターがあって、試飲ができて、おつまみが出せて、みたいなお店があると喜ばれるんじゃないかと思ったんです。もし内装に手を加えるなら僕の知り合いの設計士を紹介しますよって言ったら「じゃあ」って予算を確保してくださって。

小島さん

ふだん仕事をするなかで「酒に関することは、酒のプロである僕に聞いてくれ」と思っていたので、店づくりに関してはその道のプロの意見を素直に聞こうと思ったんです。今となっては本当に倉庫ではなく販売所にして良かった。

栗原

お店のオープンは2020年の4月。コロナ禍で1回目の緊急事態宣言のタイミングになってしまったんですよね。

小島さん

栗原さんには本当に感謝していて。僕の当初の予定通り、配達メインの業態にしていたらオープン直後に売り上げゼロになるところでした。恩人です。

栗原

でも小島さんもすごくて、開業まもない頃、チラシをご自身で2万枚も配布されましたもんね。ちょうど家飲み需要が増えてきたところだったし、反応があったみたいで。

小島さん

そのときのチラシも栗原さんに作ってもらいました。紙質にもこだわりましたね。

栗原

ポストに入っているチラシって、安っぽいものだとちゃんと見ずに捨てられちゃうので、そうならないように分厚めの紙質でインパクトがあるものを心がけました。

小島さん

実際にチラシを手にお店に来てくれる方も多くて。

栗原

SNSの時代だから紙のチラシをポスティングしてどれくらい広告効果があるんやろって未知数でしたが、かなり手ごたえがあるんやなって知る機会になりました。

現在の関係性について。

小島さん

結局、ロゴ、ショップカード、酒屋の目印になる日よけ、チラシ、ホームページ、ぜんぶ栗原さんにお願いしていましたね。やさしいから、つい甘えてしまう……(笑)。

栗原

小島さんはお酒に対しての情熱がすごいので、僕もそれに応えたいって気持ちでした。それによくお知り合いを紹介してくれますよね。そのおかげで日本酒のお店のロゴをたくさん作ることができました。

小島さん

栗原さんは何かを頼んだら、複数提案してくれる場合が多く、僕が選んだものに対して「それが一番いいと思ってました」って言ってくれる。そういう反応が安心できたので、栗原さんのデザインを広めるお手伝いができたらなって。

栗原

小島さんからも名刺やショップカードの追加発注があるので、ずっと交流は続いていますが、今年は「てんからせん(2023年11月4日開催済)」というイベントもいっしょにやりましたね。

小島さん

うちの店に、栗原さんがデザインを手がけたお店の方が来てくれることがけっこうあって。今回も北摂のお店が集うイベントに参加できてうれしかったです。

栗原

「てんからせん」は、僕の知人の建築家・奥田達郎さんが建築した9つのお店が集うイベントで、新たな点と線がつながっていってほしいという願いを込めて名付けたので、そう感じてもらえてうれしいです。

小島さん

今、イベントで知り合ったお菓子教室の方に酒米でなにか作れないかと相談してみたり、コーヒー屋さんに酒の仕込み水を使ってもらえなか提案してみたり。交流の輪が広がっていく感覚があります。

栗原

そういったコラボレーションが増えていくと、僕もうれしいですね。

十徳日本酒販売所

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